第24回 あらためて少しビッグイシューのこと・夜のパン屋さんのこと

 

第24回 あらためて少しビッグイシューのこと・夜のパン屋さんのこと

 

 ビッグイシューはもともと、ホームレスの人たちの自立を支援するプロジェクトとして始まったものだ。1冊450円の雑誌を路上で販売し、その売り上げの半分強230円が販売者に、そして残りの220円がその雑誌を作ったりプロジェクトを回していくお金になるというわかりやすい仕組みだ。私がそのビッグイシューに関係して十数年たつ。今は、そのビッグイシューのもう一つの団体、認定NPO法人ビッグイシュー基金の共同代表もするようになり、すっかり関わりが深くなった。

 

 <夜のパン屋さん><略して夜パン>も始めた。これは各地のパン屋さんの閉店前後に残りそうなパンをお預かりしてきて販売するビッグイシューの新しいプロジェクト、フードロスに貢献し、そのための仕事作りも考えたい、そう思って始めた。

 

 ビッグイシューの販売者さんたち、みんなそれぞれ結構キャラがたっている。
私が販売者さんに会える日はそれほど多くないけれどそれでも何かのチャンスで会うと、かなりの確率で大笑いしてしまう。<突き抜けている>と感服するときもあれば、じわじわくるなあという感じの時もある。接点がないように思えていた人たちと繋がることの面白さ、ありがたさ、いろんな人が助け合ってやっていくことの豊かさを教えてもらうような気がするのだ。

 

 あるとき。
ロスになりそうなパンを預かって販売する<夜のパン屋さん>だが、それでも毎日全部を売り切るという訳にはいかない。残ったパンは、私の自宅とビッグイシューの事務所の冷凍庫で保管し、食料配布や子供たちへの支援をしている団体さんに届けることにしている。夏場で売り上げが落ち、冷凍庫にたくさんのパンが溜まったある土曜日。私は池袋の公園での食品配布へパンを届けるところだった。紙袋に7個も8個も、ぎっしりとパンを詰めて事務所の下に停めた車に運ぼうとしていた。

 

 四苦八苦している私を見て、1人の販売者さんが笑いながら歌うように言った。
「パンは運ぶものじゃなくて食べるものですよ〜。」ニコニコしていた、かわいかった。
そして、こりゃうまいこと言えた、と思われたんだろう、そのあと何度も「パンは運ぶものじゃなくて食べるものですよ〜」と繰り返し歌うようにいいながら、他の人たちと協力してあっという間に車に積み込んでくれたのだった。なんだか胸熱な時間だった。
階段を昇り降りしたせいで少しぜぃぜぃ言ってる私、空は晴れている、みんなが笑ってる。
「行ってらっしゃーい」バックミラーに映るみんなが手を振ってくれていた。

 

 

 

 

 

次回は、2022年9月更新予定です。お楽しみに!