未来を紡ぐ、ものづくり。私たちが「オーガニックコットン」製品を作り続ける理由

 

 

日本で古くから愛されてきた天然繊維、コットン。

 

 

今では簡単に、そして安価でコットン製品を手に入れられるようになりました。今回はそんな私たちの暮らしに身近なコットンのお話です。

 

 

なぜ私たち生活アートクラブが「オーガニックコットン」の製品をつくり、販売し続けるのか。世界のコットン生産事情や環境への影響をふまえながら、「オーガニックコットン」を選ぶ意味を考えます。

 

 

あわせて、春から夏にかけてのおすすめコットン製品もご紹介します。

 

 

 

わたしのチョイスで、少し変わる

 

 

体を包むタオル、肌になじむTシャツ、履き心地のいいジーンズ・・・、コットンは私たち の生活に身近な素材です。その付き合いは古く、人類が綿花栽培を始めたのは約5000 年以上も前のこと。

 

 

合成繊維が台頭する現在でも、全繊維の生産量の約25%はコットンが占めており(※1)、広く親しまれています。 日本でもかつては各地で綿花が栽培され てきました。

 

 

しかし、戦後、安価な外国産 におされて、現在はほぼ100%を輸入に頼っています。 綿花の主要生産国はインド、中国、アメリカなどで、一般的には化学農薬や化学肥 料を大量に使って栽培をしています(※2)

 

 

アメリカのような広大な畑では、機械で効率的に作業するために除草剤や枯葉剤も用いるのです(※2)。環境問題に加え、発展途上国や新興国では化学農薬に対する知識の不足から生産者や地域の人の健康被害と、搾取による貧困なども深刻です。

 

 

とくに、インドなどでは安い労働力として子どもたちが働かされるという児童就労も大きな問題になっています。そのような綿花栽培の現状を改善するた めに、現在、世界で生産されている綿花のわずか1%弱とされる、化学肥料や化学農薬に頼らない農法で栽培するオーガニックコットンは有効であり、フェアトレードの精神で買い付けを行う企業からの原料調達が重要になります(※3)

 

 

今や、ワンクリックで製品が届く時代、自分の意志で製品を選べる時代です。価格やデザイン性、機能性に加え、生産者や彼らを取り巻く環境、そして地球の未来にも目を向けて製品を選んでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

オーガニックコットンを選ぶということ

 

コットン畑に広がる笑顔「biore(ビオリ)®」プロジェクト

 

©︎REMEI AG/Panoco Trading CO., Ltd.

 

私たちが提供するオーガニックコットンのほとんどは、「biore(ビオリ)®」というプロジェクトに参加する農家が育てています。

 

 

スイスのリーメイ社が中心となって行っているこのプロジェクトは、悲惨な農民の暮らしを少しでもよくするための活動として、1991年からインドで、1994年からはタンザニアで開始されました。

 

 

市場価格に15%上乗せして綿花を買い取ることに加え、その地域に暮らす人々が自立していくための基金をそなえ支援を行っています。例えば、有機農業の啓蒙、子どもたちの学校の建設、清潔な水を得るための井戸の建造、大型バスによる移動病院の提供などです。

 

 

現在インドで約3,000軒、タンザニアで約1,900軒の農家を抱える世界的にも大きなプロジェクトに発展しています。

 

 

現地視察へ、大地と子どもの未来のために有機農法を選ぶ生産者

201911月、インド中央部にあるマディア・プラデーシュ州の Biore India 契約農家の農場へ視察に行ってきました。インドはオーガニックコットンの年間生産 量世界 1 位を誇りますが、種子マーケットの 9 割は遺伝子組み換え(GMO)とい われています(※4)

 

 

そんな中、Non-GMO の種を調達し有機農法に取り組む生産者 たちは、信念を持って綿花を栽培していました。手間と収穫量と収入のバランスの悪さに苦慮しながらも、「土と子どもたちの未来のために頑張っている」と。その真剣な眼差しがとても印象的でした。

 

 

化学肥料や化学農薬を使用する農法は土地を汚す為、輪作する豆や麦などのほかの作物も汚染し、食用の綿 実油や家畜の飼料となる搾りカスも毒となります。

 

 

インドで GMO の栽培がこれほどまでに広がったのは、消費者が無知であったことも一因です。自分の仕事や買い物が子どもたちの未来にとって望ましいものなのかよく考えるべきだと思いました。

 

(生活アートクラブ  繊維事業担当/赤井篤史)

 

 

 

<参考文献>

1 日本化学繊維協会「内外の化学繊維生産動向」2018 3 13日より 2017 年の推定値参照

2 TABI LABO 2015 3 26 日リリース【アパレル業界の真実】オーガニックコットンの知られざる「6 つの真実」Sponsored by patagonia より
情報元:PAN(Pesticide Action Network)注)PAN・・・食と農業の情報を発信するアメリカ カリフォルニアのバークレーに拠点を置く団体(NETWORK)

3 フェアトレードの精神で買い付けを行う企業・・・リーメイ社(スイス)や株式会社パノコトレーディ ン グ ( 日 本)など

4 インドのオーガニックコットン生産量:Textile Exchange Organic Cotton Market Report 2019 より 2017/18harvest year 情報 インドの GMO ワタ作付け状況:ISAAA( 国際アグリバイオ事業団 ) の 2017 年のレポート参照。