自然な香りでご供養を、お盆前に知っておきたいお線香のいろは

 

 

こんにちは、エコデパスタッフの目代です。いよいよ7月になり本格的な夏が近づいてきました。

 

 

夏の風物詩ともいえるお盆。地域によって7月のお盆である新盆(7月盆)、そして8月のお盆である旧盆(8月盆)の2つがあります。

 

 

なぜ新盆と旧盆があるのでしょうか。それは明治の改暦で旧暦から新暦に変わったことに起因しています。この改暦がお盆だけでなく、各地で行われていた様々な祭礼や行事の時期に影響を及ぼしました。

 

 

全国的にみると8月に行われる旧盆が主流ですが、東京を中心とした一部地域は新盆のようです。また夏のイメージのお盆ですが、本来は初秋の行事なんだそうです。旧暦では7月、8月、9月は秋とされています。すると旧暦7月の行事であるお盆は、初秋の行事といえるのです。(※1)

 

 

そしてお盆に限らず、仏壇やお墓参りで使用するお線香。なぜお線香をあげるのかご存知でしょうか?私自身、当たり前のように行なっていたので、「供養のため」という、ぼんやりしたことしか分かりませんでした。また種類も数多くあるお線香は、どうやって選べばいいか悩むことも…。

 

 

そこで今回はお盆を前に、お線香の歴史からお線香をあげる意味、そして選び方についてご紹介します。

 

 

 

お線香の歴史、お香とお線香の違い

「お香」の歴史は古く、飛鳥・奈良時代に仏教とともに日本に伝来していたと考えられています。(※2)「お香」にはお焼香や練香・匂い袋などさまざまな形状のものが含まれ、「線」の形のお香を「線香」と呼びます。また茶道の席でもお線香がたかれるなど、様々なシーンで使用されています。

 

 

 

お線香をあげる意味とは

仏様や故人への大切なお供えであるお線香。宗派によって異なるようですが、仏事でお線香をあげることには「仏様の食事」や「仏様や故人、ご先祖様と会話をする時間」、「線香の香りで場と自分自身を浄める」などの意味があるようです。

 

お線香の原料や種類、選ぶポイント

タブノキの葉や樹皮を乾燥させ、ごく細かく砕いたものをタブ粉といいます。これに香りの良いカツラの葉などを粉にしたものを混ぜてお線香を作ります。タブノキのほか、スギやシキミの葉でも作られています。(※3)

 

 

大きく分けるとお線香には、煙が多く主にお墓参りで使われる「杉線香」と、家庭やお寺で一般的に使われる「匂い線香」の2種類があります。用途や使い勝手によって香りや長さ、形状も様々です。

 

 

日本のお線香といえば、昭和初期まで杉のお線香だったといいます。もちろん、高級品としてタブの木や白檀、沈香のような匂い線香も使われてきましたが、日常使用していたのは杉のお線香です。

 

 

「水車杉線香」

 

 

毎日上げても苦にならない親しみやすい香りだったということも大きな理由でしょう。また、材の調達がしやすいことも、日用品として使われ続けるために欠かせない条件です。お線香の選び方に厳密な決まりはなく、香りについても自分の好みの香り、故人が好きだった香りなど、好きな香りを選んで問題ないようです。

 

 

香りづけにはビャクダン(白檀)、ヂンコウ(沈香)などの天然香料と、合成香料が使われているものがあります。また着色料や助燃剤、防腐剤などを加えているものも。化学物質が気になる方は、香料や着色料不使用のお線香を選ぶようにしましょう。

 

 

 

・香りで選ぶ

現代では白檀などの伝統的な香りだけでなく、コーヒーやフルーツ、ラベンダーなど数多くの香りのお線香が並んでいます。近年、合成香料の香りは「香害」が問題になっています。できれば天然の香料を使用したお線香を選ぶようにしましょう。

 

 

・煙の量で選ぶ

お線香によって煙の量が異なります。最近は、住宅事情から煙の少ない線香も人気のようです。マンションや、閉め切ったお部屋でのご使用など煙が気になる場面では、仄煙(そくえん)タイプのお線香がおすすめです。

 

 

屋外でのお墓参りの場合には「杉線香」を、お仏壇など室内の場合には煙の少ないタイプなど用途によって使い分けても。次にエコデパでお取り扱いのあるお線香を特徴別にご紹介します。

 

 

 

スギの葉そのものの香りが広がる「水車杉線香」

 

「水車杉線香」

 

 

「水車杉線香」は筑波山のふもと、周囲をぐるっと山に囲まれた茨城県八郷で作られています。作っているのは駒村さんご一家が営む駒村清明堂。

 

 

原料は杉の葉と、筑波山麓の清流から汲んできた水だけ。「お線香」と聞くと緑色を思い浮かべますが、あの緑色は実は着色料。「水車杉線香」は着色料を使用していないので茶色をしています。乾燥した杉の葉の自然な色です。

 

 

杉の葉を挽くのは、なんと松材でできた水車。八郷の急峻な斜面を流れる恋瀬川の水が水車を動かします。昔から杉の葉線香づくりには水車が使われてきました。水車でゆっくりじっくり挽くことによって熱の発生が抑えられ、杉の葉そのものの香りが引き立つのだそうです。もちろん、香料は一切使っていません。

 

 

香りはなんといってもお線香の肝。お線香づくりへの強いこだわりがあるからこそ、駒村さんは水車を使った製造を続けています。

 

 

>「水車杉線香」はこちら

 

 

 

深いヒバの香りで虫よけも期待できる、青森ひばのお線香

 

「青森ひばお線香」

 

 

青森ヒバの精油を練り込んだ「青森ひばお線香」香炉やお香立てに立てて火を灯すと、ヒバの森にいるかのような深い香りに包まれます。その香りの良さから、線香としてのみならず「お香」としてもおすすめです。また、青森ヒバに含まれるヒノキチオールには蚊への忌避作用も。

 

 

原材料はタブの樹皮粉、天然ひば油、染料(植物性色粉)のみ。もちろん合成着色料や合成香料は使っていません。

 

 

青森ヒバとは?

ヒノキ科アスナロ族の針葉樹である青森ひばは、高さ30mほどの常緑高木です。
地域によって名称が異なり、木曽ヒノキ、秋田スギと並ぶ日本三大美林としても有名です。

 

 

青森ひばには、ヒノキチオールという成分が含まれおり、強い抗菌力があります。別名「蚊殺しの木」とも呼ばれ、抗菌や防虫効果が知られています。主に建材、医薬品原料、繊維などに利用されてきました。平安時代後期に建てられた岩手県平泉町の中尊寺金色堂は、建材の9割が青森ヒバだということです。

 

 

身近な暮らしの中では防虫スプレーとしても利用されています。また、深い樹木の香りの精油には「リラックス効果」が期待できます。

 

 

>「青森ひばお線香 110g入り」はこちら

 

 

 

いかがでしたでしょうか。今回はお盆を前に、お線香についてご紹介しました。ご供養やご先祖様への感謝の気持ちのもと、お盆を迎える準備をはじめませんか?

 

 

 

<参考文献>

(※1)蒲池勢至『お盆のはなし』法蔵館、2012年

(※2)発行者 鎌田章裕、監修山田松香木店『和の香りを楽しむ「お香」入門』、株式会社東京美術、2019年

(※3)発行者 齋藤廣達、監修・文 ゆのきようこ、樹木画 長谷川哲雄『木と日本人③葉や花、実と種』、理論社、2016年

 

 

 

 

ーこのコラムの書き手ー

スタッフ・目代 / mokudai
神奈川県横浜市出身で、夫と5歳の子どもとの3人暮らし。蚊に刺されやすい。
好きなもの / コーヒー、クリームソーダ、ヨガ