川の浄化を考える
第13章 生活に川をとりもどすために
とにかく川は面白い。泳ぐにしてもプールとは訳が違います。瀬あり淵あり、瀞あり急流あり。そして、魚たちや、水生昆虫や水草などたくさんの生命が息づいています。ひと昔まで、日本中のどの町どの村にもあった川の姿です。大人も子供も川に戯れ、泳ぎ、魚を獲りました。川は子供達に科学する目を開かせ、感性を豊かに育んでくれました。川は人間形成の修練の場、いわば人生道場でもありました。 人々は川の神を祀り、生活排水に気を使い、川掃除の共同作業は毎年欠かしませんでした。その結果川はいつも清く豊かに流れて人々にやさしさと生活を恵みつづけてくれました。 言うまでもありませんが、生活する人の姿や町並みを映し、多くの生命が息づき、心安らぐ川の風景は、私たちが川との付き合いを怠ったいま、身近には見られなくなりました。そして命の水が危なくなってきているのです。 遠い太古の昔から、私たち人間は水辺に寄り添って生活してきました。どんなに科学技術が進展しようと、水と私たちの関係は変わりません。私たちが健康で文化的な生活を営んでいくためには、水が健康であることが肝心です。そのためには川も健康でなければなりません。私たちの生活も町も、豊かな水環境があってこそ精気がみなぎるのです。魚獲りに熱中したあの川が日々の生活の中にあったら、どんなにか素晴らしいでしょう。 豊かな川への願いを込めて、作文やポスターを書くことがあります。水辺の昆虫採集や川の生態調査、学習、水質測定、魚釣りに水遊び、ハイキング。灯篭流し、屋形船、花火大会、川祭りや水神祭などの年中行事。そして川掃除。みんなでやる川掃除は、隣近所、老若男女のコミュニケーションを生み連帯感も育みます。生活排水に気を使うことも欠かせません。水や川にまつわる地域の伝説を語り伝えていくことも必要でしょう。 また、人が川に近付きやすくしなければなりません。コンクリートで固めた高い護岸は人を川から遠ざけ、フェンスや手すりが取り付けられれば、ますます人を遠ざけてしまいます。いま、ウォーターフロント、親水事業が華やかですが、「水際は低く、生態系を壊さず」を鉄則に進めて欲しいものです。 このように生活の中に川を取り戻すためのプランはいくらでもありますし実行も可能です。要は「水を慈しむ心」です。私たち一人一人が川を思い、慈しむ心を取り戻し、川と付き合いを続けていってこそ、川は清く豊かに保たれ、命の水とやさしさを恵んでくれるのです。今身近なことから始めていこうではありませんか。 前へ 次へ | 川の浄化に関する活動について 生活アートクラブは川の浄化をまじめに考えます 第1章 水と人間の関わり 第2章 水の大循環 第3章 海に囲まれている日本 第4章 水道水の浄化処理方法 第5章 日本の下水道について 第6章 下水道ものしり事典 第7章 最近の台所用合成洗剤 第8章 生活排水を汚す原因 第9章 環境への思いやり 第10章 洗剤による水汚染について 第11章 河川の水質汚濁防止方法 第12章 排水に関する法規制 第13章 生活に川をとりもどすために 第14章 川に流される大量の合成洗剤 第15章 危険な合成洗剤 第16章 台所用合成洗剤のゆくえ 第17章 合成洗剤や石けんの残留 第18章 石けんは環境や体にやさしい 第19章 界面活性剤の役割 第20章 化粧品に含まれる指定成分 第21章 合成洗剤についてのQ&A 第22章 竹が環境浄化に役立つ理由 第23章 美女の肌を守りつづけた炭 第24章 炭の浄化力 第25章 竹炭の材料になる竹の種類 第26章 竹炭の特徴について 第27章 今自分にできることを 第28章 地球はちょっと疲れてる 第29章 HPを立ち上げるきっかけ 第30章 愛 第31章 魚と合成洗剤 第32章 竹を見直そう! カンボジアの井戸掘り事業 |