川の浄化を考える
第8章 生活排水を汚す原因
生活雑排水とは、台所の排水、風呂と洗顔や洗髪の洗面所からの排水、洗濯排水を指す。トイレのし尿は雑排水とは区別して考えられている。 台所からの排水は1日1人平均30リットル、洗濯からは40リットル、風呂からは60リットル、洗濯からは40リットル、洗面が10リットル、その他が10リットルで約150リットルということになるが、これにトイレの排水が50リットル加わると合計で200リットルになる。 1人が1日に排出するBOD(生物化学的酸素要求量)は、台所から18グラム(有機物を分解するのに必要な酸素量をグラムであらわす)その他から9グラム、トイレから13グラムの計40グラムである。また、これらの排水には、リン1.2グラム、窒素10グラム、SS(浮遊物質)40グラム、陰イオン界面活性剤2.1グラムが含まれている事になる。 排水中に含まれるBOD、リン、窒素、浮遊物質などは、それ自体が土の中の微生物によって分解され植物の栄養(肥料)となる。しかし大地がコンクリートで覆われてしまうと、生活排水は土壌の浄化作用を受けることなく、分解されずにそのまま河川、湖沼、海岸に排出されてしまうのだ。 そこで都市では生活排水の人工的浄化機能(公共下水道、下水処理場など)が必要となる。しかし日本の場合、公共下水道の普及が先進国の中では遅れていて、1990年で人工比39%に過ぎない。 公共下水道の普及していない地域では、個別浄化槽も排水処理をしている。この場合、トイレの排水だけ浄化する単独浄化槽より、雑排水も一緒に浄化する合併浄化槽のほうが有効で、その機能も向上してきているものの今だ5%に過ぎない。しかし様々な許認可にまつわる利権がからみ、より性能のよい浄化槽の認可や普及を阻害している現状なのである。 生活雑排水から水の汚染を防ぐための方法について 生活排水は河川や湖沼の汚染源として大きな割合を示すが、家庭でのちょっとした工夫で、その汚染は大幅に改善することができる。ここではそうした工夫のいくつかをご紹介する。
この他にも家庭排水をきれいにする工夫がいろいろとあるが、こうした工夫を心掛けるだけで、都市下水道、集合住宅などの集合汚水処理槽の下水処理能力は2~3倍に向上するそうだ。 さらに合成洗剤に代わって石けんの使用割合が増加すると処理能力はさらに向上する。個別浄化槽はし尿だけの単独処理よりも合併処理層の方が処理能力が良く、洗剤節減、油を流さない、台所排水の大きな汚れ除去で処理能力は抜群に向上する。住民運動としても個別浄化槽を自治体で単位で普及すると効果は抜群であると思う。 前へ 次へ | 川の浄化に関する活動について 生活アートクラブは川の浄化をまじめに考えます 第1章 水と人間の関わり 第2章 水の大循環 第3章 海に囲まれている日本 第4章 水道水の浄化処理方法 第5章 日本の下水道について 第6章 下水道ものしり事典 第7章 最近の台所用合成洗剤 第8章 生活排水を汚す原因 第9章 環境への思いやり 第10章 洗剤による水汚染について 第11章 河川の水質汚濁防止方法 第12章 排水に関する法規制 第13章 生活に川をとりもどすために 第14章 川に流される大量の合成洗剤 第15章 危険な合成洗剤 第16章 台所用合成洗剤のゆくえ 第17章 合成洗剤や石けんの残留 第18章 石けんは環境や体にやさしい 第19章 界面活性剤の役割 第20章 化粧品に含まれる指定成分 第21章 合成洗剤についてのQ&A 第22章 竹が環境浄化に役立つ理由 第23章 美女の肌を守りつづけた炭 第24章 炭の浄化力 第25章 竹炭の材料になる竹の種類 第26章 竹炭の特徴について 第27章 今自分にできることを 第28章 地球はちょっと疲れてる 第29章 HPを立ち上げるきっかけ 第30章 愛 第31章 魚と合成洗剤 第32章 竹を見直そう! カンボジアの井戸掘り事業 |