第18章 石けんは環境や体にやさしい

家庭で洗濯に使用している粉石けん液を四倍の水で薄めると、石けん分の濃度は160ppm(0.016%)程度になります。(一回使用量=水30リットルに対し、石けん30グラム、粉石けんの80%が石けん分で、四倍の水で薄めると計算して)

濃度が160ppmでは、石けん分は水の中のカルシウムと結びついて、大部分はカルシウム石けん(脂肪酸カルシウム)になってしまいます。このカルシウム石けんは水に溶けないために水は白く濁って見えます。これは別名「食用石けん」とも呼ばれ、ミジンコや小魚の餌になります。実際、カルシウム石けんは牛やニワトリの飼料として製造されています。

カルシウムに結びつかない石けん分もありますが、水中の濃度が薄くなるため、界面活性作用がなくなり、魚への悪影響もなくなってしまいます。

この実験の石けん液の中のメダカはこの食用石けんをついばみ、生き続けます。

実際に洗濯の石鹸液が川に流れ出た場合、川の水でもっと石けん分は薄まり、水中のカルシウムと結びついて、100%カルシウム石けんになります。カルシウム石けんは、微生物をはじめとする川の生物たちの餌になります。

ですから、日本の河川、海のどこを分析しても、石けんは1ppmも検出されません。石けんは100%環境中で成分解されてしまいます。

しかし合成洗剤では、このような生物による分解はされません。

東京湾内の海底の堆積物中に含まれる合成洗剤濃度(LAS)を調べてみると、なんと200ppmも検出されています。合成洗剤の一部は川で分解せず、海に流入して海底に堆積してしまうのです。

製造時に高温、高圧(500度、50気圧)をかけ、化学変化させて作られる合成洗剤は、自然界の中ではなかなか分解せず、その毒性によって生物界に悪影響を与えているのです。


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