第11章 河川の水質汚濁防止方法

まず、第一に工場排水や下水の高度処理が必要です。

現在の下水処理では富栄養化の原因であるリンや窒素の除去が十分ではありません。下水処理で有機物を取り除いても、また川で光合成を行うプランクトンや藻などが発生するので、有機物を取り除く努力が無になってしまいます。

第二に、自然の浄化能力が最大限に発揮されるように、ヨシなどの水辺の草や水草を十分に利用することです。

第三に、感潮河川では海水の浄化能力を利用することです。海の干満は、いわば一日に二回も汚れた底層を掃除していることになります。感潮領域の豊富な生物も汚れたものを掃除するのに役に立っています。

第四に、水の流量を増加させることです。湧水を増やすために雨水浸透を図ったり、上流域の森林保全を行ない、保水力を高めるなどをして河川の流量を増やすことです。かつて問題となったゴルフ場が上流にできると、雨が一度に流出し、洪水や土壌浸食をもたらし、平常時の水流量を減らします。そのほかには、一般家庭でも水の使用量を減らし、自然の流域に水をたくさん流すことです。また、下水を地下(流域下水道)に流さずに、なるべく地域で高度処理して川に流すべきです。

第五に川に堰やくぼみのような水がよどむ場所を作らないことです。そのようなところでは、プランクトンが異常発生します。いつも水が流れている状態を作ることが重要です。

第六にこれは言うまでもないことですが、川を汚さないことです。川だけでなく、道ばたに物を捨てると、雨が降ったり、風が吹くと最後には川に流れていってしまいます。

第七に大気汚染物質を排除することです。酸性雨が問題となっていますが、硝酸とか硫酸などのほかに、大量の有機物質が焼却処理によって排出されています。それらの中には発ガン性のものも含まれています。

第八に養殖、畜産や農業からの排水の問題です。養殖は飼料を過剰に与えますので、リンや窒素を増加させ、富栄養化を招きます。また、防汚剤の有機スズ汚染もあります。畜産も処理場を設けないと水域の汚染につながります。農業での過剰な肥料や農薬の使用が大気や水を汚染します。

これらのことから言えることは、高級志向、大量生産が大地や水を汚染し、ひいては直接、または食物連鎖を通じて人間に影響を与えているのです。

できるだけ閉じられた系の中で物質を循環させ、外に出さないという姿勢は工業生産のみならず、農業にも必要なことです。私たちも安全や環境を守るために、生活のあり方を考え直す時期に来ているのです。


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第12章 排水に関する法規制
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