日本でも大量に使われていたクロルピリホス

シックハウスの原因とされている化学物質とは

厚生労働省では現在13の化学物質についての室内濃度指針値を決めており、今回シックハウス対策に関連して建築基準法が改正され、「ホルムアルデヒド」「クロルピリホス」の二つの化学物質が規制の対象になりしました。近い将来、残りのいくつかの科学物質についても規制がされることと予想されます。

クロルピリホスの使用禁止

クロルピリホスは有機リン系の白蟻駆除剤です。居室を有する建築物には使用が禁止されます。 

◆建築基準法さえ守ればシックハウス対策は十分、というわけではありません。 
◆住宅選びに当たっては、トルエン、キシレンなど他の化学物質対策もしっかりチェックしましょう。 
◆また、家具や防虫剤、化粧品、タバコ、ストーブなども化学物質の発生源となります。 
◆身の回りの日用品や換気など、住まい方にも充分気を付けましょう。


化学物質 指針値* 主な用途
ホルムアルデヒド 0.08ppm  の建材を加工するときに用いられる合成樹脂、接着剤、防腐剤等
アセトアルデヒド 0.03ppm 接着剤、防腐剤等
トルエン 0.07ppm 内装材等の施工用接着剤、塗料等
エチルベンゼン 0.88ppm 内装材等の施工用接着剤、塗料等
キシレン 0.20ppm 内装材等の施工用接着剤、塗料等
スチレン 0.05ppm ポリスチレン樹脂等を使用した断熱材等
パラジクロロベンゼン 0.04ppm 衣類の防虫剤、トイレの芳香剤等
テトラデカン 0.04ppm 灯油、塗料等の溶剤
クロルピリホス 0.07ppb しろあり駆除剤 (小児の場合は0.007ppb)
フェノブカルブ 3.80ppb しろあり駆除剤
ダイアジノン 0.02ppb 殺虫剤
フタル酸ジ-n-ブチル 0.02ppm 塗料、接着剤等の可塑剤
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 7.60ppb 壁紙、床材等の可塑剤

クロルピリホスについて

有機リン系化合物である「クロルピリホス(chlorpyrifos)」は、アメリカ環境保護庁(以下EPA)が1965年に登録した殺虫剤で、農業用、家庭用、工業用として広く使用されています。

芝生の昆虫、アリ、ゴキブリ、ノミ、ダニ、蚊、シロアリに対して殺虫効果があり、アメリカで市販されている一般的な商品には、ダーズバン (Dursban)、 Empire 20、Equity、Whitmire PT 270、農業用のローズバン(Lorsban)があります。


2000年6月8日,米国EPA(環境保護庁)は
,有機リン化合物クロルピリホス殺虫剤の住居を含む建物内における使用を事実上全面廃止すると発表しました。なお,この施策については製造企業とも合意ができたうえでの発表となっています。


(参考資料)
米国環境保護庁長官 キャロル M. ブラウナー Carol M. Browner氏の講演演説 
2000年6月8日 ワシントンDCにて行ったものです。以下を参照して下さい。

http://www.epa.gov/epahome/speeches_0608.htm


 クロルピリホスは米国で一般家庭や公共施設などで害虫駆除等の目的等で広く使われてきましたが,こうした場所での使用は今後全面的に廃止になります。ま た,EPA(環境保護庁)はクロルピリホスの農作物への使用も大幅に規制していく,としています。

 今回の決定は,特に子どもの健康および安全性確保に重点がおかれ,子どもが曝露する可能性の高い家庭内・学校など公共施設および食品などでこれ以上,この殺虫剤が使われないよう厳重に配慮されたものとなっています。

しかし,企業との合意で,即時に市場からクロルピリホス製品が全面排除されるのではなく,使用目的ごとにある程度の期間を設けて段階的に減らしていき,限 定された一部の使用目的以外については,最終的に全面廃止にまでもっていくことにしています。但し,特に子どもが曝露する可能性の高い場所での使用につい ては早めに対策を取るよう配慮しています。

シロアリ防駆除業者などでつくる「日本しろあり対策協会」も2000年12月から幼児や妊婦らの住む家屋などで、2002年4月からは一般家屋での使用を自粛しています。
ただ、同協会に加盟している業者は業者全体の三分の一の約千社にすぎず「加工業者以外が使っていないとはいえない」(同協会)のが実態です。


日本でも大量に使われていたクロルピリホス

クロルピリホスは日本でも広く使われており,リンゴやナシのアブラムシ,ハマキムシ,シンクイムシ,樹木のアメリカシロヒトリなどに適用されています。

また,殺虫剤としてゴルフ場で使用されたり,住居の防蟻剤やシロアリ防除剤,家庭用殺虫剤や防虫畳としても広く使われています。

殺虫剤の商品名はダーズバン。また,シロアリ駆除剤には,カヤタック,クロルピリック,ケミガード-DC,シロアリピリホス,レントレクなどの製品があります。

アメリカからのクロルピリホス原体輸入量は87トン(1986年),水和剤の生産量は352トン(同年)です。日本におけるクロルピリホスのADI(1日 摂取許容量:人間がある物質を一生涯にわたり摂取しても,現在の毒物学的知見からみて,何ら障害の現れない最大量)は体重1kgあたり1日 0.0015mg。日本における使用量は近年少なくなってきてはいるとされるものの,中毒事故などの被害報告は多く,97年に発表された国民生活センター の「シロアリ防除剤の安全性」の中では,クロルピリホスによる事故件数が一番多かったと報告されています。

新聞記事)
毎日新聞 2000年6月18日「シロアリ駆除剤に注意、空気汚染濃度散布後5年減少せず」
読売新聞 2001年3月20日「シロアリ防除、健康被害が多発」
朝日新聞 2002年9月22日「家庭用殺虫剤、床や壁に殺虫成分が残留」


国内害虫駆除業者の中には,これから先を見据え,化学物質の使用を極力減らした防除方法に切り替えを開始している業者も出てきているようですが、まだまだ 代替薬品としてのピレスロイド系、有機リン系、カーバメント系など農薬成分殺虫剤を使用しているものが多いようです。

新聞記事)
河北新報 2003年9月3日「家庭用殺虫剤で健康被害、駆除会社に賠償命令」  

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