積極的水環境改善2大活動
食廃油回収とリサイクルせっけんづくりの循環型ネットワーク
食廃油回収とリサイクルせっけんづくりの循環型ネットワークの実現
● 生活アートクラブでは、「復活!今だからこそリサイクルせっけん!」と題して、食廃油の回収によるリサイクルせっけんづくりのネットワーク化を再現する。
●ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)の重要性が問われる中、資源の無駄を最小限にとどめるよう、廃油をせっけんとして最後まで使い切ることを提唱する。
● 新油入手が安価でできる現代、ここで敢えて、「今だからリサイクル!」をしていかなくてはならないのである。
● この活動により、廃油が下水として廃棄される絶対量の軽減、及び廃油回収後の焼却に関する環境負荷を効果的に軽減できる。
従来までのリサイクルせっけんの問題点は、回収などによる手間が結果としてコスト高に繋がってしまうこと、むしろ新油が安く手に入ること、旧油の匂いがせっけん臭に繁栄されてしまう点などが挙げられる。
当クラブでは旧油の精製方法に独自の技術を用い、油の匂いの問題を解消、さらに植物のフィトンチッド効果により、洗濯しながら抗菌消臭効果ができるせっけんを開発した。
このせっけんは、製造法に於いてその他にも鹸化の過程や、熟成、粉砕技術に独自の技術を用している。
北海道苫小牧市でつくられているこのせっけんの評判は今のところ上々であるが、廃油の回収量などを考えると、せっけんの生産能力は僅かであり、広くリサイクルせっけんの輪を構築するためには運賃コストや廃油の回収手間などを考慮して首都圏に於いても将来的にこのようなネットワーク化を実現したいと考えている。
ちなみにこのせっけんは、当生活アートクラブですでに特許の申請をしている。
この技術を用い、首都圏に於いて廃油回収のネットワークを作り、そこで回収された廃油でせっけん作りを行い、廃油回収に協力してくれたホテルや飲食店には協力企業として、逆に安価でのリサイクルせっけんの提供を行なうものとする。
環境問題は大きな輪と協力が必要であることから、前記北海道苫小牧市で小さい輪ながらすでに実践されているのをモデルケースとして、首都圏に於いても大きなネットワーク化の構築がなされることを期待している。
現在、大量の廃油が出る企業の大部分は、産業廃棄物として有償で業者に引き取らせている。しかしながら引き取り後の油の活用については、中々付加価値の高いものとしては還元されない為、首都圏でもこのような回収業者が年々減少しつつあるのが現状なのである。
また、廃棄物として焼却される場合には、ダイオキシン発生などの重大問題、焼却炉の劣化が著しいことなども現場では頭を悩ませているようである。
資源の再利用については、個人や企業、行政が互いに協力することにより、少しでも大きな輪を形成することが求められるのである。
ネットワークづくりにあたっては、廃油提供者、回収業者、せっけん製造施設、製造技術、せっけん利用者などが相互協力していくことが前提となる。
ここで提案したいのは、首都圏内における障害者の授産施設などでのせっけん製造である。実際、前記苫小牧市では福祉施設の授産所で、彼らの社会参加も兼ねて、軽度の障害者によるせっけんづくりが行なわれるようになって約10年の実績がある。このような作業施設が首都圏に複数できることも、ネットワーク化の重要な鍵となるのである。
資源は最後まで使い切ることの重要性について理解を得ることで、廃油提供者は自らが使用した油により、生まれ変わったせっけんを再利用でき、環境に積極的に取り組んでいる企業としての評価は極めて高いものと言えよう。
せっけんの利用者が増えるように、安価で提供できるよう、相互協力体制をとっていく必要がるのである。このような輪の構築には時間と労力を要するが、当生活アートクラブでは、今までも各地で講演活動を通じ、私どもの主旨にご賛同いただいた協力者を大勢得ている。
また、このたび新しく川の浄化をテーマとしたホームページも開設し、今後の主とした活動としていきたい。
森林保護と育成を兼ねた竹炭による河川の浄化活動
森林保護と育成を兼ねた竹炭による河川の浄化活動
● 生活排水に気を付ける一方、河川の積極的浄化を目的として、笹または竹炭による浄化について期待している。
● 周知のとおり、木炭や竹炭利用の浄化メカニズムは、高い吸着性能により汚染物質を取り除くことと、吸着された汚染物質を微生物による分解によって無害化することである。
● 森林保護の側面から定期的伐採を効果的にするため、ゼロエミッションとしての竹材利用に注目し、水汚染物質に対する吸着性の高い竹炭をミクロに粉砕した竹炭粉を配合したせっけんによる家庭排水の負荷軽減を各家庭単位で実践できる商品開発を行なうことを目的とする。
八王子「浅川地区環境を守る婦人の会」では1985年から6年に亘り、木炭による河川の水質浄化実験を20回記録した。この他、静岡県川根町の川根中学校、福岡県久山町の実験など、このような運動は全国各地で行なわれ、また実績をあげている。
八王子「浅川地区環境を守る婦人の会」が行なった実験は、浅川の上流から下流までの各ポイントに、約120キログラムの木炭を細かく砕いてたまねぎの入っていた網の袋に入れ、汚れが最もひどいドブに長さ10mにわたって設置し、年に数回水質調査を行なったものである。これにより浅川の水質は回復したと言われてきた。
しかしながらこのような活動は、木材探しに始まり、炭焼きから窯だし、仕掛け作り、川の各ポイントへの設置、清掃作業など定期的なメンテナンスも伴い、大変な手間と時間を要するものとなってしまうのである。
したがって、せっかく貴重な実験結果が出ていたとしても、長続きしなかったりする場合もあるようだ。またこのような活動は、一部の環境に熱心な人たちによってのみ行なわれている感があり、一般家庭人の参加が積極的に行なわれていない現状のように思えるのである。
当生活アートクラブでは、従来からゼロエミッションとしての竹炭の特性に注目しており、これらが河川の水質浄化に何らかの目的で利用されることを期待し研究してきた。そして川の浄化を目的として、家庭に居ながらにして誰もがもっと簡単に参加できる方法は無いものかについて考えて来た。
そこで私がかねてから考えていたこと、それは竹炭を細かく粉砕し、家庭排水と一緒に流してしまう方法である。
この方法はいくつかの点で相乗効果が期待できると私は見ている。
粉砕の粒度は数十ミクロンという大きさにし、これを合成界面活性剤を使用していない生分解性の高いせっけん洗剤に配合する。もともと炭はアルカリ性なので洗浄力があり、食器洗浄には適しているので、特に台所用の食器洗いとして使用すればよい。生活アートクラブでは、このせっけんについてもすでに特許の申請をしている。
炭については木炭より竹炭のほうが、その特性である吸着性や森林保護の点で都合がよいと考えている。
北海道産の根曲がり竹(通称:千島笹)炭は、その吸着性の点でさらに効果的と考えている。根曲がり竹炭は木炭の約7倍の吸着力があるといわれているからだ。
家庭排水における有害化学物質の吸着を目的としているので、吸着力に富んだ素材はさらに好ましいと考えたのがその理由である。また、細かく粉砕することにより、固体に比べはるかに表面積が大きくなることで、炭の持つ特性である「孔」がより早く吸着性を発揮することができるのである。
この方法により、家庭の排水口から各市町村の浄化センター(下水処理場)までの下水道管内において、前記の川辺に100キログラムに及ぶ木炭ネットを設置したと同様に、有害化学物質を吸着し、河川の浄化をサポートできるのではないかと考えたのである。
もともと下水道管の中は、人の手が加えられない地中のことだから、管の内部で粒度の細かい炭が汚水と一緒に浮遊しながら下水処理センターまでゆっくり流れて行くことが期待できるためである。
これなら川辺に設置された木炭設置場所を、汚水が僅か一瞬で通過することより、もっと効果的に、しかも人の手の加えられない下水道の管内で充分な炭の役割が果たせると期待できるのではないか。
細かく粉砕された炭は浄化処理センターまでの道のりの間に、有害化学物質やその他の汚染物質を吸着し、さらに竹炭の孔に住みつくとされる放線菌などの微生物が着生し、有害化学物質の分解・浄化をも果たしてくれるかもしれない。
浄化センターにたどりつけば、従来の活性汚泥法などの処理システムにかけられ、既に汚染物質の吸着した粉砕炭を取り除けばいいのである。
もともとこの方法は、簡単に言えば活性炭による汚染物質の吸着を図る作業であるから、その方法を下水処理施設のもっと手前の段階、つまり家庭の排水口から実施してしまおうという仕掛けなのである。
この処理方法によって汚泥量が増加するという点が問題ではあるが、それについては何らかの二次活用を考慮することが好ましい。
むしろ近年、浄化処理センターへの負荷が重く、さらに高度な処理システムの導入などが各自治体で検討されており、終局的にはこれにより、各家庭の水道料金に跳ね返ってきてしまうことを考えれば、下水処理施設の負荷軽減という大きな役割を微力ながら支援することができるのではないか、と私は考えている。
これなら休日を返上し、心有る奉仕の精神を持った人たちの多大な時間と労力をかけずに、もっと合理的に、各家庭で手軽に実践できる地域の川の浄化運動に積極的に参加できるのではないだろうか。
このような取り組みにより、それぞれの家庭において、ちょっとだけ「水」について子供たちと語り合う機会があれば、お台所がまさに生きた家庭学習の場になるに違いない。
当生活アートクラブでは、これまでに記してきた食廃油回収による資源の保全とリサイクルせっけん運動により家庭排水の汚染防止を目的とすること、また下水処理センターの処理負荷軽減の実践、及び竹炭粉を利用した河川の積極的浄化を具体的実践として、これからの新たな川の浄化をテーマに積極的な活動を推進して行きたいと考えている。
(生活アートクラブ 代表 富士村夏樹)