隈笹が持つ天然成分を、和紙に生かす

隈笹(くまざさ)について

隈笹は、主に本州の高原地帯や、北海道の山野に群生するイネ科の植物です。ほぼ60年間、枯れずに地中の養分を吸い上げながら、たくましく成長します。隈笹の生命力が強いのは、地中で根を十分に繁茂させているからです。だから冬になっても枯れずに雪の中で越年するほどの、強い生命力を持っています。冬眠前の熊がそれを食べることでも知られています。

なぜあの大きな体の熊が、冬眠の前に、必ず隈笹を食べるのでしょうか。熊は冬の間、冬眠しますが、冬眠する前に一冬を過ごせるだけの大量の餌を食べます。冬眠中は眠っているので排出行為ができません。不要物資を体外に排出できないので、普通ならば腸内で異常発酵し、血液を通して体中に毒素がまわってしまいます。これを防ぐために、熊は冬眠前に大量の餌を食べた後、さらに大量の隈笹を食べるのです。熊はクマ笹に血液浄化作用や解毒作用があることを本能的に知っています。そして春になって冬眠から目覚めた時、最初に食べるのは隈笹なのです。ちなみに隈笹の隈とは、越年すると葉の回りに白い“隈取り”ができることから来ているそうです。

もちろん隈笹の効果に注目していたのは、熊だけではなく、人もその生活の中に取り入れてきました。日本人の食文化の中で、笹は色々な形で使われてきました。笹だんごはもち米とうるち米とを半々にまぜ、よもぎを入れて笹の葉に包んだものですが、笹だんごは戦国時代の合戦の時に保存食物としたのが始まりといわれています。他にも笹アメやチマキに使われたり、身近なところでは、すし屋のネタの敷物に隈笹が使われています。これらはいずれも笹の防腐効果を利用したものですが、それは隈笹の葉にビタミンKが大量に含まれていて、その抗菌作用や、クロロフィルの制菌作用などにより、食物の腐敗が抑制されているのです。

中国では明朝時代に、李時珍が1000種ほどの薬を書き連ねた【本草綱目】に隈笹が記載されています。喘息、去痰、十二指腸潰瘍、腎臓病、浮腫、止血に効き目があるとされ、炎症や悪性の腫れものへの塗布剤としても使われてきました。隈笹には葉緑素(クロロフィル)、多糖体、リグニン、食物繊維、ビタミンK をはじめとする各種ビタミン、アミノ酸など体に有効な成分が豊富に含まれ、その効能・作用は多岐にわたっています。細胞賦活作用、血液浄化作用、免疫賦活作用、創傷治癒促進作用、造血作用、殺菌、制菌作用、脱臭作用、抗アレルギー作用、他
*参考文献「クマ笹の秘密」 大泉和也 著

こうした働きや歴史を持つ隈笹を、もういちど、日常生活に溶け込ませようと開発されたのがささ和紙製品です。それは、隈笹と和紙の良い部分を融合させた“新しい生活用品”。古来の伝統的な東洋の生活文化を、新しい技術で現代に蘇らせました。

隈笹が持つ天然成分を、和紙に生かす

ささ和紙開発チームが、注目したのは、上記のような隈笹が持っている自然の抗菌・防臭作用です。隈笹の葉からエッセンスを抽出すると、天然成分が含まれた隈笹原液ができあがります。しかしこの液体のままで製品にしても、液体はいつか乾いてしまうので、効果が持続しません。そこで考えたのは隈笹原液から作ったフレーク(小片)を和紙に漉き込むことでした。こうすれば、隈笹成分のエッセンスが、そのまま生かされ、いつまでも持続します。研究を重ねた結果、このアイデアを実用化することに成功しました。

独自工法により、和紙を作る際に隈笹フレークを漉き込み、糸に加工し、布に織り上げていきます。こうして大変ユニークな健康に寄与する効果を持った、新しい素材として"ささ和紙布"と、ささ和紙製品が誕生したのです。
*注
通常クマササは、植物体から抽出されると、太陽光によって葉緑素が短時間に分解され、効能が著しく低下してしまいます。しかし木村光雄工学博士との共同開発により、太陽光によって分解されないように改良されたクマササを和紙に漉き込むことに成功しました。(特許申請中)

それと同時に、通常の洗濯に耐えうる強度を持った和紙の製法も、最新技術で開発しました。次に、そうした技術をかけ合わせて、ささ和紙ができるまでをご説明しましょう。

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古来の生活の知恵━和紙と隈笹
■隈笹が持つ天然成分を、和紙に生かす
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