ヒノキ科アスナロ族の針葉樹である青森ひばは、高さ30mほどの常緑高木です。地域によって名称が異なり、木曽ヒノキ、秋田スギと並ぶ日本三大美林としても有名です。
青森ひばには、ヒノキチオールという成分が含まれおり、強い抗菌力があります。別名「蚊殺しの木」とも呼ばれ、抗菌や防虫効果が知られています。主に建材、医薬品原料、繊維などに利用されてきました。
平安時代後期に建てられた岩手県平泉町の中尊寺金色堂は、建材の9割が青森ヒバだということです。
身近な暮らしの中では防虫スプレーとしても利用されています。また、深い樹木の香りの精油には「リラックス効果」が期待できます。
1.抗菌作用・・・ 雑菌を寄せ付けません。
2.リラックス・・・香りが気持ちをリラックスさせます。
3.防虫効果・・・シロアリ、ダニ、ゴキブリなど、虫を寄せ付けません。
4.防臭・消臭効果・・・不快な臭いを抑え、アンモニアなどへの消臭作用があります。
5.薬理効果・・・民間療法をはじめ、薬草として様々な研究使用されています。
6.酸化防止作用・・・食品の腐敗を防ぎます。
青森ヒバ精油に含まれる「ヒノキチオール」が「SARS対策に有効である」とメディアで報道され、広くその力が知られるようになりました。
近年、抗生物質の使いすぎによる耐性菌の出現や、化学合成品による薬害が問題になっています。
そんな中、できるだけ天然物質で人体に悪影響のない抗菌力のあるものを見つめ直そうという動きがでています。
その一つとして「ヒノキチオール」が再び脚光を浴びるようになってきたのです。
「ヒノキチオール」は菌種を問わず多くの菌に対して抗菌作用を示します。カビや腐朽菌に対して特に活性が高いこと、そうして耐性菌の出現をほとんど許さないという特徴を有していることが判明しています。
上の写真は院内感染する「耐性菌MRSA」に対するヒバ油の抗菌試験です。
ヒバ油の抗菌作用の主成分であるヒノキチオールにおいて、きわめて低濃度で発育阻止します。
ヒバ油、ヒノキチオールはその抗菌力とともに種々の効果が研究されつつあり、耐性菌対策プラスアルファの効果が期待されています。(写真提供:いずれも青森県工業試験場)
ヒバ油は、青森ヒバ材中に約4%含まれている黄色透明で、細菌、真菌(カビ)、担子菌(キノコ)など非常に幅広い菌類に対して優れた抗菌効果を示し、シロアリ、ゴキブリ、アリ、ダニなどの虫に対し殺虫、忌避効果を有します。
以下の写真は日本三大美林の青森ヒバ、木曽ヒノキ、秋田杉の心材をカビの胞子を塗布した寒天培養に置き、1週間培養したものです。
青森ヒバの周囲に、はっきりと帯ができており、飛び抜けて優れた抗菌力を有していることが分かります。
これはヒバ油中に約2%含まれているヒノキチオールによるもので、非常に優れた抗菌効果を有しています。
青森ヒバは、その香りを嗅ぐことによりストレスを和らげ、その上に集中力を増す作用のあることが立証されています。(青森県工業試験場 岡部博士、フレグランスジャーナル1992年8月)
青森ヒバの香りを嗅ぐことが、ストレスを抑え、リラックス状態になります。そして集中力は増し、精神的にも肉体的にも、バランスが取れた健康な状態にリセットしてくれるのです。
日本では森林浴が有名ですが、ドイツでは医療的に森林療法(クナイプ療法)が普及しています。血液循環関係の疾患や自律神経失調症、ノイローゼなどに効果を上げているといいます。
また、青森地方では喘息の子どもを製材所に連れていくと症状が和らぐと言われるほどだそうです。