ニットのお洗濯で避けたいトラブルの一つが色移り。同じウールなのに濃色と淡色を一緒に洗うとなぜいけないのでしょう?
それはどんなに優しく洗っても、濃い色と薄い色のニットが水中でこすれ合い、摩擦などさまざまな原因で結果的に薄い色のニットに濃い色が移ってしまう可能性があるからです。
特に濃色のニットに関しては単独で洗われることをおすすめします。
エコデパのニットはとても丁寧に作られています。では、お洗濯も同じように丁寧に時間をかけてじっくり洗った方が良いのでしょうか?
答えは真逆!
ニットの手洗いは面倒に見えて、コツさえつかめば実はとても短い時間で済んでしまうのです。
質の良いニットの風合いを長くキープするためには、洗い・すすぎ共に30度前後のぬるま湯で、短時間でささっと洗うことがポイントとなります。
必ずウールやシルクに使用可能と記載のある石けんや洗浄剤をご利用ください。
洗い桶に30度前後のぬるま湯を入れ、指定の分量の石けんなどをよく溶かします。
ニット製品を裏返し充分にお湯を含ませ、手のひらで優しく押して洗い桶の底に沈め、浮かんで来たらまた押す。これを30回ほど繰り返すだけでOK。
あとは同じ要領でしっかりとすすぎます。
柔軟剤はお洗濯の際欠かさず入れる方も多いかと思います。しかし柔軟剤は多用しすぎると逆にニット本来の風合いが損なわれる場合があります。
エコデパのニットは、糸が持つ風合いや個性を活かすシンプルなデザインです。
その風合いを長持ちさせるため、また環境への負荷をへらすためにも、柔軟剤ご使用の場合は本来の使用目安以下の量をおすすめします。
また、ウールオイル(ラノリン)を含む石けんやケア用品をご使用の際は、各商品の説明に従って下さい。
漂白剤または漂白成分入りの洗剤のご使用はお控えください。
天然繊維のウールに漂白剤を使用するのは、人の髪の毛にブリーチするようなもの。どんなに洋服の形をしていてもあくまでヒツジの毛で作られたものです。汚れ落ちどころか色ぬけが起こる可能性があります。
手洗いではどうしても落ちにくいシミ・汚れなど個人でのお洗濯に迷いが出た際は、お近くのクリーニング店にご相談下さい。
脱水時のみ洗濯機を利用すると、効率よく作業を行うことができます。ウールは強く脱水すると縮みの原因になる可能性がありますので、必ず洗濯ネットに入れ「弱回転コース」をおすすめします。
また、バスタオルを使用し、脱水するのもおすすめです。洗いあげたニットを強く絞らずゆっくり水を押し出し、その後バスタオルでニットをはさみ、水分をタオルに移すように上から押して脱水します。
シーツやタオルは太陽の光にたっぷりと当てカラッと干すのが気持ち良いですが、ニットはどうして陰干しが推奨されているのでしょうか?
陰干しをする一番の理由は、紫外線による品質の劣化を防ぐためです。直射日光に長時間当てて乾かすと、製品の縮みや風合いが硬くなる原因となります。
洗浄剤などの成分や乾かし方に気を配ったり、紫外線を気にしたり、ただのお洗濯というよりまるでヘアケアのようですね。
ウールだけでなく、天然繊維(綿・麻・シルク)は紫外線によるダメージを受けやすいため、陰干しのマークが付いている製品は少なくありません。
陰干しをマスターすれば、あらゆる天然繊維のアイテムを長持ちさせるコツがつかめます。
陰干しにベストな時間帯は、じつはシーズンごとに変わってくると言われています。
春〜夏:
早朝から10時前後、17時から夜間
秋〜冬:
早朝から11時前後、16時から夜間
ご家庭に影の出来る場所に干せないという方は、実は陰干しを室内で夜間に行うのもOK。
日中に比べゆっくりと乾きますが、紫外線によるダメージが防げます。
陰干しする際は、専用の平置きネットのご利用が好ましいですが、軽いニットは物干しざおにかける方法もあります。
ニットは手洗いだけでなく乾燥後のアイロンもたったの2ステップ。コツをつかめばとても簡単です。
1. 浮かしアイロンをかける
2. 放置して蒸気を乾かす
たったこれだけ。
1. 浮かしアイロンをかける
蒸気で繊維を「蒸す」イメージでアイロンを1cm程浮かせて繊維をふっくらとさせ、形を整えてあげてください。
温度はどんなに高くても中温度(150℃程度)に抑えましょう。高温の蒸気は縮みの原因になります。
蒸気は1か所10秒程度を目安として下さい。
ウールは熱に強く燃えにくい性質がありますが、綺麗に形を整えようと、ついつい高温のアイロンで強く押すのは間違い。不自然な「てかり」が発生し、繊維も傷みやすくなります。
あて布の上から蒸気をあてることもおすすめです。熱を分散させるほか、繊維が変形せず、より製品が長持ちします。
2. 放置して蒸気を乾かす
アイロンしたニットをしわにさせないためには「放置」するだけ!
たっぷりの蒸気で整えたニット。今度は蒸気が乾くのを待ちましょう。ウールは天然の吸湿・放湿性のある繊維ですので、30秒ほど待ってみて確認してみましょう。
ニットにまだ蒸気の熱が残っているようであれば雑誌などを当て熱を吸わせると早い場合もあります。放置時間はご自宅の温度や湿度、ニットの厚さや編地によりますが、この「放置」のひと手間で、収納時しわになりにくい仕上がりになります。
ピリングが発生した場合は、必ず毛玉取り機やハサミで取り除くようにしてください。手で無理やりむしってしまうと、製品に穴をあける原因になったり繊維そのものが痛む可能性があります。
絡み合った繊維をリラックスさせてから伸ばす事で、ある程度は元のサイズに戻ります。
縮みやすいニット製品は、2度目以降のお洗濯は少し伸ばしてから乾燥させると、後の手間が減ります。ウールは天然の防臭効果・汚れにくさがあるため、汚れが気になる場合は部分洗いなどでケアすれば、全体の洗濯回数が少なく済みます。型崩れしたニット製品もこちらの方法を応用してある程度整える事ができます。
伸ばしたい部分全体に、アイロンのスチーム(蒸気)をゆっくりたっぷりとかけてから、手で引っ張って製品を伸ばします。この時アイロンはニットから1cm程度は離し、直接触れないようにご注意ください。
霧吹きで製品を少し湿らせ、必ずあて布をし、軽くアイロンをあててから、手で引っ張って製品を伸ばします。
※やけどには十分ご注意ください。引っ張る際につかみたい部分はスチーム(蒸気)やアイロンをあてすぎないことでやけどを防止できます。
※アイロンの温度は150°程度(中アイロン)に設定します。
※高温のスチーム(蒸気)をあてすぎるとさらに縮む場合があります。
※製品を斜めに引っ張ってしまうと、型崩れします。
※元の状態に完全には戻りません。
ウールは「生きている繊維」と呼ばれています。
お手入れはシンプルですが、天然繊維・ウールにはまだまだ知らないこともたくさんあります。
ただのお手入れを通り越し、ウールについて豆知識を増やすことで、純粋なウール100%商品の素晴らしさを知って頂ければと思います。