もっと知りたい「生きている繊維」ウールについて

もっと知りたい「生きている繊維」ウールについて

今回、エコデパで初めてオリジナルのウール製品を取り扱うにあたり、少し専門的な内容となりますが、ウールの構造と性質についてご説明したいと思います。

ウールが羊の毛なのはほとんどの方がご存知かと思います。 ウールは「生きている繊維」とも呼ばれていますが、それはなぜ、またどういう性質があるのでしょうか?

「生きている繊維」ウールの構造と性質

①保温性

羊の毛はどんな形?と聞かれると、皆さんクルクルとしたカーリーヘアを思い浮かべるのではないでしょうか?
まさにこれが「クリンプ(縮れ)」と呼ばれ、ウールが空気を抱え込み着ている人を暖かく保つ秘密です。
羊の毛は天候などによる湿度の微妙な変化に合わせて、常にクリンプが伸縮しています。湿気を吸うと伸び、乾くと縮む現象を 「ハイグラル・エキスパンション」といいます。

②調湿性

羊の毛には、私たちの髪の表面を覆うキューティクルと同じように「スケール(表皮)」というウロコ状の層があります。
吸湿性のある内部組織「コルテックス(皮質)」が、湿気をため込み膨潤すると、 「スケール(表皮)」は開き、放湿されます。 そして「コルテックス」の水分が減少すると、「スケール」は閉じます。
これらの働きにより、羊毛は快適な水分状態に保たれています。

羊から羊毛が刈り取られ、ウール繊維としてセーターになった後も、 この性質は失われることはありません。これがウールが「生きている繊維」と呼ばれる理由です。 私たちは自然の力によって、ウールセーターを快適に着ることができます。

呼吸するウール

※コルテックスは二重構造になっています。
・オルソコルテックス:水を吸いやすい=膨張しやすい
・パラコルテックス:水を吸いにくい=膨張しにくい
吸湿した時、それぞれの膨張性の違いが「クリンプ(縮れ)」を発生させます。

縮れの起きる構造
ウールの構造

気をつけたい、ウールの「フェルト化」

ウールの特徴を知らずにお手入れを行ってしまうと、繊維が密にからみあい離れなくなる「フェルト化」が起こり、縮みやゴワゴワした風合いの原因になります。一度フェルト化された製品を元の風合いに戻すのは非常に困難です。

フェルト化が起こる!気をつけたい3大条件「こすれ・熱・水」

・水を含んでスケールが開いた状態は繊維が絡まりやすく、さらにこすることで繊維同士が絡まり、硬くなってしまいます。

・お洗濯の際に、「羊の平均体温39度」より高温の状態となったり、アルカリ性溶液*の使用などもスケールの開く要因と言われています。

・これらの要因を極力避けていただく事によりフェルト化防止になり、製品の柔らかな風合いが保たれます。

*ウールやシルクなどの動物性たんぱく質を含む繊維は、アルカリ性溶液や酵素に弱い性質があります。 これは、たんぱく質がアルカリによって構造がゆがんだり分解されたりするためです。
市販のアルカリ性洗浄剤は洗浄力が高く油性の汚れ落としには効果的ですが、ウールに使用すると繊維を劣化させ、フェルト化を促進してしまいます。お洗濯には、必ず「ウールやシルクに使用可能」と記載のある石けんや洗浄剤をご利用ください。