おかきは日本発の最も古いお菓子といわれています。
日本人は神事や祝い事でお供えした「鏡餅(かがみもち)」のお下がりを小さく欠き、焼いたり揚げたりして、お菓子として食していました。鏡は古来、呪術的な霊力を備えたものとされ、祭器や首長の権威の象徴とされてきました。
また、餅も神聖な力が宿る食べ物と考えられており、この鏡餅を食することは、その霊力をいただくことにつながっていたのでしょう。
「おかき」と呼ぶのは、手で「欠(か)いて」作られていたから。奈良時代の書物には既にその名が見られます。現在、市販の米菓には「くず米」や「古米」などが使われることが多いのですが、精華堂はおかきを本来の姿に戻したいと、神様にお供えするほど素晴らしい餅(もち米)でつくるという伝統をいまに蘇らせました。こんな「おかき」は他にはありません。
米菓の美味しさを決めるのは、主原料のもち米。そこで精華堂の清水精二(現会長)さんは日本中の農家をくまなく歩き、おかきに合うもち米を探したそうです。そこで出会ったのが、宮城県産の銘柄「みやこがねもち」。もち米の王様ともいわれる品種です。
宮城県の農家でご馳走になったお米は、それまで食したことのない味でした。香り、旨み、歯ざわり、のど越し、すべてにおいて「本物!」と感動したそう。聞けば、無農薬とのこと。手間ひまかけて育てた無農薬・化学肥料不使用のもち米が本物の美味しさにつながるのだと、清水社長が確信した瞬間でした。
「みやこがねもち」で日本一のおかきをつくるため、宮城県大崎地区の生産者と協働でお米をつくることにしました。この大崎地区一帯は、持続可能な循環型農業として2017年、世界農業遺産に東北で初めて認証された地域。
良い農産物をつくるだけでなく、豊かな環境を守ることに情熱を傾ける生産者たちとのコラボです。使用されるお米はすべて、いつ・どこで・誰がつくったのかが分かる田んぼの履歴書もあるといいます。
さらにすごいのは、あの「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんに指導を受け、自然栽培の米作りに取り組んでいること。農薬や化学肥料を使用しないことはもちろん、有機肥料すら使わない栽培法。自然とのバランスをとりながら、地力を活かして人がお米をつくるのです。
自然栽培の生産者はまだわずかですが、このネットワークを広げていきたいと清水社長は考えています。また、契約農家から全量買い取るので、生産者をバックアップすることにもつながっています。
現在、精華堂のおかきは7割ほどが有機栽培米を使っていますが、将来的には全量を有機栽培米にしたいと意欲満々です。
手間をかけた手のし、手揚げ(高温カラッと揚げ)、手焼き、手付け、手詰め、これらの工程は機械ではなく、すべて職人さんたちの手を使っておこないます。特についたお餅を乾燥させる塩梅は、職人の経験と勘がものをいいます。その季節、温度、湿度などさまざまな条件の中で頃合いを見極めるそう。生地の良しあしでおいしさに違いがでるのです。
全国から美味しい素材を厳選し、本物の素材だけの美味しさと深い味わいを追求しています。
【有機醤油】
国産小麦と国産丸大豆から作られた香り高い醤油
【ざらめ(砂糖)】
原料は有機栽培のさとうきび
【昆布】
北海道日高産の真昆布
【米】
こだわりの「みやこがねもち」
【みりん】
国産の有機もち米を使用したみりん
【塩】
壺焼き製法で作られたミネラル豊富な焼き塩
【白醤油】
有機小麦・有機大豆を使用した白醤油
【かつお節】
近海一本釣りの鰹を使用
お米は加熱すると、澱粉(でんぷん)がアルファ化してふっくらとしたご飯になりますね。おかきは一度蒸したもち米を再度、加熱(焼く・揚げる)するので、2度アルファ化することになり、消化がよいのだそう。また、よく噛むことで、唾液の分泌もよくなり、消化吸収を助けてくれます。
清水社長も「よく噛んで食べてほしい。そうすればおかきの本当のおいしさが分かりますよ」と力説。洋菓子に比べて脂質やカロリーが少ないのも特徴ですが、腹持ちがいいので、少ない量でも十分満腹感を得られるのがうれしいですね。
緑茶だけでない、珈琲・紅茶・ワイン・ほうじ茶などおかきの新しいペアリングをお楽しみください!
■黒糖かりん×珈琲
黒糖醤油のコクのある甘さに珈琲の香りがぴったり。互いの旨みが広がります。
■CAMEMBERT TART(カマンベールタルト) ×紅茶
おかきとは思えない洋風のチーズタルト。紅茶の新定番お菓子になりそう。
■ANKO TART(あんこタルト)×ほうじ茶
香り高いさっぱりとしたほうじ茶は、品の良いあんこタルトの甘さと塩味を引き立ててくれる。