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自然を生かす産業を守れ/小川耕太郎さんの話

自然を生かす産業を守れ
現在の林業・製材業の現状そして未来を展望した小川耕太郎さんの話

現在、私どもは未晒し蜜蝋(ミツロウ)ワックスの製造販売を中心に自然を生かす産業を守り・育てようという活動をしております。

実は私は、元々製材工場を営んでおりました。約5年前に倒産してしまい、その1年後この仕事を始めました。というのは、私どもの製材所が倒産してからも毎 年廃業・倒産する製材所があり、山と海しかない地元尾鷲がどうなってしまうのだろうと考えたことがきっかけです。自然を生かし・守り・育てることのできる 産業をなくしてはならないと思ったからです。

林業・製材業は今、経営が成り立たなくなっております。たとえば、ヒノキの有数の産地である尾鷲市の例を挙げますと、ヒノキ山1ha 60年生 800〜900本の立木価格は約100万円〜1.000万円です。

杉が少しでも立っていると、その分ヒノキの値段からマイナスされます。つまり、杉はタダでもいらないということです。1.000万円という値はほとんどなく、特別です。平均すると200〜300万円でしょうか。

これでは再植林できません。再植林するだけで150万円/haかかります。そこを下刈り、枝打ち、間伐をすると400万円以上かかるのです。ですから、木 を切った後の山は、ほぼ100%放置されています。売ることのできない40年生くらいまでの山は手入れされずに放置されています。再生産可能であることが 木材の優れたところであるにもかかわらず、その利点を生かせなくなっております。どうしてこのような状況になったかにつきましては、いろいろな意見がある と思いますが、外材に負けてしまっているということが挙げられると思います。

木材業界だけでなく多くの業界が今、同様の問題に直面しております。経済のグローバル化ということでしょうか。本当にこれでよいのか、私は疑問に思っております。

情報や知識がグローバルに共有できることは大変好いことだと思います。同じものがより安く手に入ることも好いことだと思います。しかし、日本は生産性の低 い農林漁業を捨て、サービス業と付加価値の高いものだけを製造するだけに特化することは不可能です。

環境はグローバル化できません。日本の空気が汚れているからといってアマゾンから空気を運んでくることは出来ないからです。グローバル化といって効率だけ を優先していては、生活の基本である衣食住そのものが不安になってしまいます。それぞれの地域ごとに第一・第二・第三次産業がある、自然があって産業があ るようにしなければなりません。

具体的にご説明すると、最近、「健康住宅」というのが流行っております。「ノンホルムだから安心です」「ホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・パラジクロロベンゼン等の有害物質は使用しておりません」などというような宣伝文句をよく耳にします。

本当にこれらの物質が入っていなければ、私たちは安心・安全・健康に暮らせるのでしょうか?

私たちが安心・安全・健康に暮らせるということはこれらの4つの化学物質の有無だけで決まるわけではありません。安心・安全・健康な家を建てられたとしても、すべての人が家をシェルターにして、家の中だけで生活できるわけがないからです。

安心・安全・健康に暮らす上で自分たちの周りの環境がよい環境であることは非常に大切なことなのです。つまり、自分たちが快適に過ごせるということは周り の環境が守られて初めて成立するということです。今、私たちの生活が子々孫々繋がっていくようにするためにはどうすればよいかについて考えなくてはならな いときにきています。

家はコンクリート造でも、鉄骨造でも、外材の木造でも安心・安全・健康な家は建てられるでしょう。地震にも強く、長持ちし、静かで快適な家が建つでしょ う。しかし、周りの環境を大切にするという観点から見ると、国産材を利用することがどうしても必要です。

現在、過度に外材に頼りすぎているため、国産材を生産する林業・製材業は経営が成り立たなくなっております。そのため、山の手入れが行き届かず、森林の持つ公益的機能:(1)水資源涵養 (2)土砂流出防止 (3)土砂崩壊防止 (4)保険休養 (5)野生鳥獣保護 (6)酸素供給などが損なわれています。

林業や製材業などの産業が成り立つからこそ、それぞれを生業にしている人たちは森林に入り、山の手入れをすることができるのです。ボランティアだけで環境を守っていくことは不可能ですし、補助金を使うやり方ではコストがかかりすぎます。
  
安心・安全・健康な暮らしを続けるためには、自分たちの周りの環境を生かし、守り、育てるような産業を大切にしなければなりません。その産業が成り立たな くなり、なくなってしまったらより多くのコストがかかってしまうからです。農業や漁業も同様です。

最近、セーフガードを発令するかどうかについていろいろな意見がありました。結局、発令は見送られましたが、その後何があったかは皆さんご存知だと思いま す。ほうれん草然り、マツタケ然りです。農薬の問題が出てから、国産野菜の需要が伸びてきているとのことですが、もし日本の農業が成り立たなくなり、なく なっていたとしたらどうなったでしょうか?

食べ物のように検査をしてすぐに判るものではありませんが皆さんの知らないところで日本の林業・製材業・山は今、死に直面しているのです。時間はあまり残 されていません。一刻も早く、山で生活をする人たちが普通に生活できる仕組みづくりが必要です。

 もちろん、それらの産業に携わる人たちがその役割を認識し、節度を持っていなければなりませんし、より良いものを作る努力をし、それがどのようにして作られたかについて情報公開し、消費者に伝える努力をしなければなりません。

その上で、消費者は環境を生かし、守り、育てながら生み出されている商品を知る努力をし、できるだけそれらの商品を購入し、産業を育て、環境に貢献するように要求する必要があると思います。

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